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日米地位協定の解釈根拠を政府修正の話

【日米地位協定の解釈根拠を政府修正】
*この記事は1/20に青山事務所Facebookに掲載したものを転載しました。
国民民主党が、それはおかしいんじゃないか、と指摘して、長年慣行になっていた説明を政府が修正しました。1月13日の報道に出ました。遅まきながらこの件について秘書レポです。



非常におおざっぱに言うと、日米地位協定の前では裁判権等の主権が及ばない、なぜなら一般国際法上、駐留軍には内国法は適用除外だから、というものでした。今回、一般国際法上云々、という根拠が修正され、「軍隊の性質に鑑み、(中略)公務について、受入国の法令の執行や裁判権等から免除される」とされました。
昨年秋から幾度か、党の部会、勉強会ではこの地位協定の話を取り上げてきました。関係省庁の説明によると、省庁でもずっと「国際法上」という根拠でこの解釈を続けてきたとのこと。そもそも、外国と結んだ合意が自国の主権よりも上位に来るのが国際法上一般的、というのは奇妙な話です。学生時代に法律をかじった程度のへっぽこ秘書某でさえ「え?」と思いました。まして、法の実務家ならばこの「え?」の感じはよくわかると思います。


戦後この解釈で行こうと決まった経緯、つまり当時の現場の方たちがどのような戦略、打算、感情で動いたのか知る由もありませんが、その後、身内(=日本人)を納得させるために繰り返してきた無理筋の理屈というのは、心の底では、その脆さをおそらく自覚していただろうと思います。
アメリカは他国との地位協定を125個程締結しているそうで、それらと比較しても日本の主権の不在さというのは際立っているそうです。例えば、アフガニスタンは、まだ戦時~準戦時のカテゴリーに置かれるそうですが、それでもアメリカとの地位協定で、アメリカの軍法会議にアフガニスタンが立ち会う権利が認められている等、自国の主権への配慮、逆に言えば主張が認められています。また、その国にいる人はその国の法律に属するのは国際法のルールであり地位協定は例外的なものとの認識がアメリカにはある。
さて、日本はG8の中で唯一のアジアの国。欧米と対等に頑張っているある意味では強い国です。しかし、韓国、イラク、アフガニスタン等がアメリカとの地位協定において自国の主権をそれなりに主張しているのに日本はなぜこのような状態(つまり、原則と例外が逆)に陥っているんだろう…と、説明を聞きながら何ともモヤモヤしました。
今回、国民民主党は、主権放棄ではないかと指摘し、政府は説明に用いていた根拠を修正しました。政治家(しかも野党)からの指摘は、実は修正の必要性への認識が今まであって、政府、役人が待っていた「きっかけ」になったのかもしれません。あっさり修正されました。
ただこれからどういう影響があるのか、これだけで進展が止まってしまうのかわかりません。
いずれにせよ、政治家、特に野党の存在意義というのを改めて実感します。国会での法案採決だけが現場ではないということです。